第10号 Think Different アップルがやった事(2)

2002.06.08

Think Different アップルがやった事(2)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<2003年6月8日>━
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■■■「知」とIT/ビジネスへのTIPS
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情報資本主義の今を考えるコラム
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http://kinyuu-literacy.hp.infoseek.co.jp
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第10号 Think Different アップルがやった事(2)

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1.モノの生産より、情報の生産が重要な社会が到来した=情報化社会
2.IT技術とは、1.を可能ならしめる条件整備のことであり、IT革命が
直ちに情報化社会を招来する訳ではない
3.デフレの根っこにIT革命があり、21世紀は構造的にデフレが進行する
アップルがやったこと、また米国IT企業の活動からそんなことが見えてくる。

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■日本標準産業分類の改定

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日本標準産業分類は、総務省統計局が定める日本の産業の分類コード。
昨年2002年3月、9年ぶり11回目の改定を行った。02年10月から施行。
変更の主旨は「情報通信の高度化、経済活動のソフト化・サービス化、少子高齢
社会への移行に伴う産業構造の変化に適合するよう」改定するというもの。

これにより、大分類として「情報通信産業」が創設され、レコード、出版、映
画等が一括りに中分類「映像・音声・文字情報制作業」に衣替えした。
レコード、出版、映画会社は、以前製造業だった。
以前は「映像・音声・文字」を載せる「媒体」に注目した分類となっていた訳
だ。
今般、「いやコンテンツ産業なんだ」という位置付けに漸く変った。

音楽はレコードの発明以来、たまたまレコードだっただけだ。それ以前オルゴ
ールの歴史を持っている(※1)。最近では、テープだったり、CD、MDへの
変身が忙しい。
本はグーテンベルグの発明以降、たまたま紙だった。

モノの生産より、情報の生産が重要な社会が到来したことを象徴するような出
来事だ。

このような情報化社会の到来は、IT技術の進展に負うところ大だが、しかし
ITが進化すれば直ちに情報化社会が実現するかというと必ずしもそうでない。
日本に例えば、デルに相当する会社、アマゾンに匹敵する会社が多く誕生してい
る訳でないことを見ればこれは明らかだ。

それではそもそもデルがやったこと、アマゾンがやったこととは何なのか。

■デル、そしてアマゾン

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デルモデルと呼ばれるビジネスモデルがある。現在それは「EMS革命」に
結実、IT不況の最中、業績は好調である。
デルは製造業に多い、研究開発の費用をほとんど計上しない。ある程度、市場
が成熟し始めたところで、そして標準化が進んだところで、デルモデルを適用
してシェアを奪取していく作戦で、今のところ進出分野でこの作戦は成功して
いる。

(デルモデルについては「EMS革命に乗り損ねた日本」ご参照
http://kinyuu-literacy.hp.infoseek.co.jp/atoz_030428.html )

製造業といえども、業務プロセスそのものをすべてネット化、IT化可能であ
る、と考え、むしろIT化不能な要素のみを「自社」と定義し、それ以外の要素
はすべて外部に依存し、外部との関係においては合理性を追求、その管理の仕
方も徹底的にIT化していく、この思想を首尾一貫させたのがデルだ。

次にアマゾン。
本来流通業が目指すべきは、住宅街の一角にあるような食料店、雑貨店が、そ
の昔持っていた「顧客についての深い知識」をベースにした、顧客満足度の追
求だ。しかし20世紀後半に登場した流通の革新は、「大量調達、大量販売」に
よる「安さ」をベースにした顧客満足だった。大量の顧客を相手に「顧客につ
いての深い知識」を要求するのは、それは無理というもの、というのが、通り
相場だった。

アマゾンがやったことはこの二つに橋渡しをした、ということだ。IT技術を
使って。
「personalized, database-driven commerce」
これがアマゾンのやった「革新」だ。
それはITが出現するまでは、コストとの対比で不可能だった。

しかし、ITがあれば直ちに「革新」が進むわけではない。
ITの本質をどう理解し、企業活動にどう使っていくか。それぞれの企業の存立
基盤、存在理由に立ち返ってITを使いこなそうとした時、初めてそこに「革命」
とも呼ぶべき状態が出現する。
Think Different アップルがやったこともこの文脈の中で理解
すべきだ。

■IT革命を支える3つの法則

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さてこのIT革命は3つの法則に支えられている。

ムーアの法則 =半導体の集積度は、18ヶ月で2倍になる    ※2

ギルダーの法則=CPU能力、記憶容量は1.5年で2倍になる

メカトーフの法則=ネットワークの価値は接続する端末数の二乗に比例する

■情報化がもたらす「デフレ」効果

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上の3つの法則は「同じコストでも能力が増加する、経済効果が増加する」事
を言っている。
これを、「同じ能力を得るのにいくらのコストが掛るか」、「同じ経済効果を得る
のにいくらコストが掛るか」、と逆に考えると何が見えてくるだろう。
そう、幾何級数的な価格低減だ。

このある種物理的な価格低減効果に加え、アップル、デル、アマゾン3社のIT
による企業革新、これがもたらすものは企業の「原価革命」であり、「売上から
営業利益への転換」革命だ。

 

■21世紀は構造的にデフレが進行する

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スタンフォード日本センター理事長 で、最近では株式会社アーニス・サウンド
・テクノロジーの代表取締役社長を務める今井賢一氏が90年代初頭に次のよ
うに言っている。
「まさにIP(インターネットプロトコール)の上で、全てがつながる時代が到来す
るわけで、そのインパクトは実に大きい。インターネットというインフラ上で生
産から流通、消費に至る全てがつながり、あらゆる行為の生産性が連鎖的に向上
する可能性が生まれた。これこそがIT革命が”革命”とまでいわれることの基盤」。

生産性の連続的な向上とは、同じ利益をあげるのに、従来に比べ少ない売上で
済む、ということだ。

アップルの音楽配信事業は、レコードの「くび木」から離れ、音楽ファンとミュ
ージシャンを結ぶ。そして企業の存立基盤、存在理由をより鮮明に現実化しなが
ら、営業利益は失わない。なぜなら、音楽ファンとミュージシャンを結ぶコスト
が、原価が低下するからだ。モノ(レコード、CD)を作るための製造原価は必
要ないのだ。
一方売上は減少する。モノ(レコード、CD)はもう売らないから。

こうして21世紀は、構造的にデフレが進行する世紀になっていくのだ。
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※1 オルゴール:手回しやぜんまいで小針のついた円筒を回転させ、金属の
櫛(くし)形の音階板をはじいて美しい音楽を奏でる自動演奏装置。ヨーロッパで
は、19世紀にフランスの人形師ジュモーなどがこの機械装置をセットしたオル
ゴール人形を作製し、音色にあわせて人形の持つ鳥籠(とりかご)の中の小鳥も歌
いながら動き回るものなどが現れた。
1885年ドイツ人、パウル・ロッホマンがディスク・オルゴールの実用化に成功
それまでのシリンダーオルゴールからの改良品として普及。金属の円盤ディスク
に曲を記録させ、家庭用タイプ以外に、コインの投入口がある業務用ディスク・
オルゴールが作られ、パブ、酒場、レストラン、ホテルのロビーなどで活躍した。
その後、レコード、蓄音機の登場で、生活の場から急速に姿を消していく。
http://www.hanshin.co.jp/hall/tenji/history.html

※2 ムーアの法則:1965年、インテル社の創業者ゴードン・ムーアが提
唱した「半導体の集積密度は18カ月で倍増する」という法則。「一定のシリコ
ン上にエッチングできるトランジスタの数は18カ月ごとに倍になる」という、
つまり、マイクロ・プロセッサのコンピューティング・パワーも当然、18カ月
ごとに倍になり、同じコンピューティング・パワーを買うために要する費用は
18カ月で半分になる。だから、パソコンの価格は下がり続ける。

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