第12号 知的生産性と「モノ作り日本」の呪縛(1)

2003.11.03

知的生産性と「モノ作り日本」の呪縛

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<2003年11月3日>━
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■■■「知」とIT/ビジネスへのTIPS
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情報資本主義の今を考えるコラム
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http://kinyuu-literacy.hp.infoseek.co.jp
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第12号 知的生産性と「モノ作り日本」の呪縛(1)

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■電子書籍ビジネスコンソーシアムの設立。

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10月16日、電子書籍ビジネスコンソーシアムの設立総会が行われた。
席上で、コンソーシアムの特別顧問に就任した評論家の立花隆氏が講演を
行い、電子書籍の未来展望を話した。
電子書籍は「社会の相転移を引き起こすような大変化」を巻き起こすだろ
う、と関係者を鼓舞する一方で、活版印刷の技術を発明したとされるグー
テンベルグが、莫大な借金を背負い必ずしも「楽ではない生涯を送った」
ことも紹介。電子書籍事業を始めようとする人間も、同様の結果となって
「歴史に名を残すだけになるかもしれないが」と付け加え、会場の参加者
を苦笑させた。

事業として成功するかは、ビジネスモデルをどう組み立てられるかだ。
そして「歴史に名を残」せるかは、そのビジネスモデルが日本の知的生産
性にどれだけ寄与するかに懸かっている。
この点で「モノ作り日本」の呪縛からどれだけ離れられるかがキーになる。

 

■発起人と世界展開の構想。

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コンソーシアム結成のきっかけは11月に発売される松下電器の読書用専
用端末(シグマブック)。同端末は書籍の画像データを、省電力の記憶型
液晶で再生する。形態も書籍に極めて近く、不況が続く出版業界では、電
子書籍市場が本格化するのではという期待感がある。
発起人は19人。
東芝の高木利武常務、松下電器の秋山正樹・システムソリューションズ社
長、イーブックイニシアティブジャパンの鈴木雄介社長が中心メンバー。
他に勁草書房、大日本印刷、凸版印刷、平凡社、旭屋書店、岩波書店など
が名を連ねている。
http://www.ebookjapan.org/

具体的な事業としては、電子書籍コンテンツの拡充および普及活動。
松下のシグマブックで多様なコンテンツが活用できるようなアーキテクチャ
ーの研究。
そして、書店での電子書籍販売ビジネスを検討する書店サービス部会、中
国市場をにらんだ海外ビジネス動向調査などの国際化部会がある。

世界展開のミソはフォントを使わない、イメージ画像で行くという点。
これにより、たとえばフォントが用意されていない、海外の書籍もコンテ
ンツ化できる。「海外の動向を調査し、国際化も検討する。日本発、世界
標準の電子書籍文化を発展させたい」(コンソーシアム)。中国では、政
府主導で教科書の電子化が推進されているが、端末の採用も働きかけ、中
国市場を取り込もうと言う戦略はよく練られている。
(参考:創刊準備号NO1 大「公開」時代の到来)
http://kinyuu-literacy.hp.infoseek.co.jp/tips_soukan1.html

 

■デジタル化の本義は何か。

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書籍をデジタルデータ化してアーカイブとなし、ネットワーク経由で転送、
販売する構想は「情報化」時代にふさわしいアイデアだ。しかしデジタル
化の本義は「モノ」から離れるところにあるのではないか。

コンソーシアムの構想は、どこまでも「紙」の本に換え、「端末」の本を
売る発想から抜け出せないでいる。「モノ作り日本」の呪縛が如何に強い
かを思い知らされる。
http://www.ebookjapan.org/press/0309ppt/0309pr.htm

「本」の流通業から脱却し、「コンテンツ」の流通業へ向かわなければな
らない。デジタル化されたコンテンツを巡って、ネットの世界では既に
「社会の相転移を引き起こすような大変化」がおき始めている。
そこで起きている事は、情報の検索と参照、それを踏まえた新しい「知」
の生成へと向かう、知的生産性を向上させる大競争だ。
このままでは日本は大きく立ち遅れてしまうのではないか、懸念される。

次回は、アマゾン、グーグル、BLOGを素材に「知的生産性」向上
の動態を見ていきたい。
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2001年4月4日に発表されたマサチューセッツ工科大学(MIT)の授
業教材無償公開、「MIT OpenCourseWare (MITOCW)」は「知」の世界に本
当に大きな波紋を呼んだ。
http://web.mit.edu/newsoffice/nr/2001/ocw.html

資金を出しているのは大学ではなく財団だ。ヒューレット財団とメロン財
団が最初の2年間の開発に1千百万ドルを拠出する。

03年9月には500コースのオープンコースウェアが完成。あと残りの
1500科目が次の3年間で完成する。

デジタル・デバイドという言葉が使われるが、21世紀の真のデバイドは、
「知の巨大な空間」となったネットの世界にアクセスする「意欲」と「能
力」を有し、自分の知識やスキルを磨き続けようとする人達と、そんな事
には全く興味すら持たない人達との間で起こるはずだ。

あなたはどちらのグループへ行こうとされていますか。
日本はどちらのグループへ行くのでしょうか。

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