『検索の年』のIPO(3)〜マーカーの付いた教科書の「古本」

2004年06月02日

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今週の火曜日6月1日、あのYahoo!Japanが検索エン
ジンをGoogleから自前のエンジン、YSTに切り替えた。
リアル世界ではピンとこないけれど、ネット世界ではそれはもう、
文字通り蜂の巣をつついたような騒ぎになった。

・http://www.sem-research.jp/sem/yahoo/20040531114945.html

・http://www.enatural.org/archives/001188.html

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■米国の大学生協に山と積まれる教科書の「古本」。


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今月6月は、日本では新学期の興奮が一段落する時期だが、米国で
は9月が新学期なので、6月は逆に学期の終わりの時期にあたる。
もう暫くすると学年を終えた生徒達が、終了した講義の教科書を
生協に売りに来る季節がやってくる。

生協で売られる教科書の「古本」は、買う学生にとって二重の節
約になる。ひとつはコスト。もうひとつは学習の効率性だ。

米国の学生は日本の学生とは比べものにならない、大量の書籍を
読まされる。本が分厚いうえ、週単位、月単位で次々と参考図書
含めた図書の指定が続く。如何に要領よく必要な情報を拾い上げ
ていくかの勝負に、学生は日々没頭することになる。

さてその際、聴講する教授の講座を優秀な成績で終了したA君の
「古本」があると重宝する。
A君がマーカーした部分は必ずやその教授の講義との関連で重要
な部分に違いないからだ。これが二重の節約、「学習の効率性」
の意味。「重要なページ」がより少ない時間、労力で特定できる
からだ。

当然、普通の成績だったB君の古本よりA君の方が価値がある。
かくして古本コーナーでA君の本の方には新刊本を超える値が
付くことすらある、というのは冗談。

しかし古本需要が単にコストセーブだけでないのは本当だ。

面白い話だけど、それとGoogleとどういう関係があるの?

 

■ディレクトリ型検索とロボット型検索。

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Googleが目指したのはA君のマーカー機能なのだ。

「ナレッジの宝庫」であるネット世界から、如何に効率よく必要
な情報を入手するか、これが「検索」エンジンを使って情報探索
をしている人のニーズ。ネット世界はまるで玉石混交の「ナレッ
ジジャングル」、ジャンク情報の海に溺れてしまいそうだ。

数ある情報の中から「重要なページ」を「重要性」の順番に並べ
る作業をするのがGoogle検索エンジンの特徴。

今やGoogleは「ロボット型検索」の代名詞になっている。
「ロボット型検索」とはインターネット・ロボットなどを利用し
て、一気に世界中のサイトを分析し、データベース化して提供す
る検索エンジンの総称。機械的に情報を振り分けることから効率
的ではあるが、情報操作した「だましページ」や情報が集まりす
ぎてユーザーの目的に辿り着けないなどの問題があった。しかし
「重要なページ」を「重要性」の順番に並べるアルゴリズムを
Googleが開発して、様相は一変した。

それまでは「ディレクトリ型検索」が一般的であった。
「ディレクトリ型検索」とは、人手によって収集した「サイト」
を、人手によってデータベース化して提供している検索エンジン
の総称。人が内容を見て振り分けることから、情報量は限られる
が内容の的中率は高くなる。

Googleは10万台のパソコンをつないで世界中のサイトを
瞬時に訪問した上で、開発した「PAGERANK」のアルゴリ
ズムで「ディレクトリ型」並みの的中率を上げる事に成功した。

そして単に早いというだけでなく、「ディレクトリ型検索」が、
どちらかというと「サイト」を探してくる、言ってみれば「お探
しの情報はたぶんこの本にあるでしょう」と「本」を差しだす。
これと異なり、「お探しの情報はたぶんこのページにあるでしょ
う」と「ページ」を差しだすことに成功したのだ。
つまり、優秀な成績で終了したA君の、「マーカー」機能を実装
したのだ。

 

■誰にとっての「重要」か。

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教科書の「古本」の話はまだ終わらない。

知的営為とは畢竟「編集」行為なのだ、と喝破したのは編集工学
研究所の松岡氏だ。

米国の教授が複数の参考図書、教科書を指示するとき、その選定
行為そのものからもう、「編集」は始まっている。つまりその教
授はあるテーマ、関心軸で横串を挿して複数の図書を選んだ=編
集したことになる。

個々の図書の中身は、目次の順番に編集されている。その中の部
分、部分を別のアングルから抽出し直し、別のくくりで集めなお
した。それが図書選定行為だ。

すると、同じ本を選定した場合でも、その教授が選んだ理由(=
テーマ、関心軸)と別の教授が選んだ理由とが異なる、場面が生
じる。

つまり折角優秀なA君の古本を手に入れたのに、出席する講座が
別の教授だと、「マーカー」が必ずしも役に立たない、という事
が起き得る。テーマ、関心軸が異なるのだから当然だ。
優秀なA君がマーカーした「ページ」が、別の教授の講座ではそ
んなに「重要」でないという事態が起きる。

誰にとっての「重要」か、が大事。
これを「検索」の「パーソナライズ化」という。

 

■Googleはパーソナル情報を持たない。

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Yahoo!は情報ポータルサイト、会員制を有し、パーソナル
情報を持っている。

Googleは「知的生産性向上請負会社」だからパーソナル情
報を持たない

仮に、Yahoo!がGoogleと同等の自前検索エンジンを
開発し、そのうえでパーソナル情報を使い、「検索」の「パーソ
ナライズ化」に成功すると、「検索」世界のGoogle優位の
神話が一挙にくずれるのではないか。

蜂の巣をつついたような騒ぎになったのにはこういう背景があった。

さてそれで新しいYahoo!の検索エンジンの仕上がり具合は?

データセクション社長の橋本氏が、「インターネット」という単
語で切り替え移行前と後とでの検索結果の検証をしている。

『移行前は”インターネット”という言葉に引きずられて、テレ
ビガイドやハローワークがトップでしたが、移行後はインターネッ
トという概念、意味に近い検索結果がでてきていると言えそうで
す。概念ベース、意味ベースで探したい人にはより有意義になり
ました。』
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001631.html

__とすると大きな地殻変動がこれから起きるのか?

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