セミナー備忘録:「ベンチャー=仕事一筋!!」はもう古?!(4)

5.等級制度は経営(者)が従業員に届けるメッセージ

「メッセージ」は、戦後から20世紀末までに次のような変遷を経ている。

イ.年齢基準/勤続年数基準=時間経過による等級区分

「辛いことがあっても、我慢して当社で長年働けば、必ず報われますよ」

50年代頃、周知、普及した制度。企業には、教育投資インセンティブ (仕事を通じ獲得した能力が流出しない) が働く、また従業員にとっては生活保障的機能があるのが、広く定着した理由。

実はこの時期は、「成長」を暗黙の前提にできた幸福な、そして安穏な時代だった(当時は「我々の努力の成果で」と自己効能感が横溢していたが、21世紀の今日、(まだ少数派かもしれないが)数々の幸運に恵まれ、諸条件が同時起動した稀有な時代と総括されている。つまり、もう二度と訪れない)

 

ロ.保有能力基準/発揮能力(=実力)基準=能力による等級区分

「努力して、自己能力を高めてください」

70年代以降導入が始まる。60年代から70年代の高度成長の結果、生活水準もある程度向上し、またその象徴として大学進学率が上昇。これらを背景に「結果平等から、機会平等を」の思想が人事制度にも反映したのが能力主義。

 

ハ.職務基準=仕事の内容による等級区分

「自らの仕事の価値を高めることにより組織に貢献してください」

80年代、賃金下方硬直性の緩和施策として脚光を浴びた区分。但し、制度の「運用」は結局年齢、勤続年数本位で、この時期、労働分配率は一貫して上昇し、後々の成果主義の性急な導入につながり、労使関係にいたずらな混乱を引き起こす下地を作った。

 

ニ.成果基準=仕事の結果に等級区分

「がんばった人に会社は報いたい」

90年代、バブル崩壊と前後して採用企業が陸続とつらなった。しかし先行組は評価ステップで躓き見直しが相次ぐ。またその見直しの中で会社家族主義のような旧来型企業文化の再生産にもつながり、企業の構造変革を妨げ、かえって業績悪化が頻発し、日本企業社会は「山一証券倒産(97年)」に象徴される、その後の時代から、つまり21世紀の私たちから、「失われた○○年」と揶揄される期間に突入することとなった。

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◆関連クリップ

●終身雇用と成果主義は、同時に実現できます https://societyzero.wordpress.com/2014/07/31/00-41/#6

●『21世紀の資本論』が問う、中間層への警告 https://societyzero.wordpress.com/2014/07/31/00-41/#1

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