6.新しい「公私混同」の在り方
セミナーの話に戻ろう。
一般的には職場では「公私混同」は許されない。だが今起きていることはむしろ、新しい「公私混同」の在り方を探る運動なのでは、と感じた。
全体で二十人弱の会で、ワークショップの時間では4テーブルでそれぞれ話し合ったがそののテーマは下記。
私は専業主婦で会社立ち上げを計画しているAさん、それに育児のために中途退職を経験したことがあるBさん(男性)とご一緒させていただいた。
Aさんは、立ち上げる会社の就業の在り方として、いくつかのルール、考え方の軸を語ったが、印象に残ったのは、
・こどもを送り出すとき、学校から迎えるとき、家にいること
・そのために、在宅業務を工夫すること
だった。
またBさんが語ったワークライフバランスの成功事例で大事なポイントとは、
・職場で共有されるスケジュール表に、私的なスケジュールを加えること(例:幼稚園・保育園の送迎時間や介護に行く日時)
・定期的な人事面談でも、私的な状況を必ず上司との間で話し、共有すること
だった。
会社が準備する(人事・就労)制度にプライベートを合わせる、それも大事だが、私的な勤務上の制約条件を公開、共有することで、制度の側で融通を聞かせる余地がないかを考える、また職場の仲間間で融通しあう余地を探る、という方向性が見えてくるのが大事なのだろう。
先進的な「イクボス」が存在する組織で起きている現象も似たようなことだと報告されている。たとえば下記はNPO法人ファザーリング・ジャパンの「イクボスプロジェクト」での、(株)リクルートキャリアの佐藤雄佑さんの事例。
ワーキングマザーであるメンバーが、マネジャーに対してどのようなことを感じているかという生の声を聞いて、組織長にどんどんぶつけて行きました。「午後5時にミーティングを定例で入れているのは、時短勤務の私には期待していないということですか」とかですね(笑)。
時間制約があるスタッフがいる場合、それらをどのように配慮していくか、といったことの啓蒙活動にあたりました。
特にこの半年は、自分も進んで計画的に有休を取りますし、共有のスケジュールに「この日は保育園におむかえ」と普通に書き込むようになりました。他のメンバーも、「おむかえ」までは書かなくても、「今日は妻が体調悪くて」など言ってくれるようになりました。
※当日の様子はこちらから
http://arrowarrow.org/jisseki/2014/309.html
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◆関連クリップ
●【国際女性ビジネス会議】残業しない会社は業績が伸びます https://societyzero.wordpress.com/2014/07/25/00-33/#11
●イクボス・ロールモデルインタビュー https://societyzero.wordpress.com/2014/07/25/00-33/#14
●イクボス事情、最新動向 そして「イクボスアワード2014」開催! https://societyzero.wordpress.com/2014/07/25/00-33/#13