「ピア」の力、あるいは「World Cafe」方式~セミナー備忘録:第六回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション。(上)

(この「セミナー備忘録」は例によって、「議事録」ではありません、あらかじめお断りしておきます)

1.はじめに

ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京の石川貴志さんは、その名の通り、貴い志の持ち主。自身で「働き方と組織の未来」というワークショップを運営している。活動ぶりのひとつの実証として、facebookは実に2481人(2014年8月24日現在)の方々が「友達」に名を連ねている。

その第六回の「ダイアローグセッション」、8月18日のセミナーに参加した。

内容もさることながら今回特に、「World Cafe」方式に興味がわいた。

実はfacebookで橋本大也さんが、スティーブン ジョンソン氏の『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』へのコメントをしていて、その内容から「World Cafe」を連想した。

「ピア」というのは、互いに相手から敬意と評価を得たいと思う対等な関係にある「仲間」である。 (P47)
(『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』)

そのことを書いてみたい。

橋本さんはこの本のことを「対等な仲間のような互助の関係が世界を変えていく。その周縁からイノベーションが生まれるという内容。(略)中心となるのはやはりITイノベーション」と記述した後、本の中で紹介されている(米国の)自治SNSの事例と、その日本版が現在閑散としていることに触れ、「原理的には素晴らしいが実際に継続する仕組みにするのが難しいのだろう。本書で紹介れていたサイトの中には既に閉鎖されたものも複数あった。キリスト教文化や社会資本などご近所さんコミュニティの性質が欧米と日本では違うことが原因か」としている。

a.ピアの力が社会を変えていく
b.継続する仕組みという観点で、日米で何かが違う

interesting!

が、とにもかくにも、まずはセミナーの概要から紹介していこう。

2.第六回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション。

「未来の働き方は、どうなっているんだろうか?」
「人と組織の関係性は、どう変化しているんだろうか?」

本イベントでは「働き方の未来」をテーマに新しい取組みをされている個人/企業の双方のゲストをお呼びし、現在の活動とその価値についてお話いただきます。そのことをきっかけとして「個人と企業とのエンゲージメントの未来」や「働きがい」について参加者同士でダイアローグを深めていく予定です(ワールドカフェ形式)。また本テーマに興味のある方々同士で新しい繋がりが生まれる場になればと思っています。

http://kokucheese.com/event/index/193949/

セミナーのスケジュール全体は、登壇者からの講演とその後の「World Cafe」で構成される。登壇者は必ず「企業側ゲスト」と「個人側ゲスト」の二人が招待される。

今回第六回では、企業側から、株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役の斉藤徹(さいとう とおる)氏、個人側として、「プチプチ」を脇役から主役に変えた女性、川上産業のプチプチ文化研究所所長杉山彩香(すぎやま あやか)氏が登場した。

横道に逸れるが、私は斎藤さんのソーシャル・リーディングならぬ、ソーシャル・ライティングに参加した一人である。

斎藤さんの『BE ソーシャル! ―社員と顧客に愛される5つのシフト』はfacebookの「グループ機能」を使って執筆された。つまり、斎藤さんが原稿を書く。書いたところまでをFBの「グループ」、ソーシャルシフトの会  に公開する。するとそれに対し参加者がコメントをし、ある場合は議論をする。その内容を原稿に反映、修正していく。

だらだらやってもいけないので、章とか、節とかのかたまりごとに期限を設けて、この活動は続けられた。日本ではまだまだ珍しい、ソーシャル・ライティングの試み、本のタイトル、「BE ソーシャル! 」にふさわしい構想だった。

『BE ソーシャル! ―社員と顧客に愛される5つのシフト』

さていよいよ刊行され、出来上がった本を購入して私は驚いた。末尾(P314~315)に「謝辞」の欄があり、なんと私の名前を見つけた。FBの「グループ」、ソーシャルシフトの会でのディスカッションでこの本の生成に寄与した人々の名前があり、その中に私の名前があったのだ。
BEソーシャル 謝辞部分

著者が偉くて、読者がそのご意見を拝聴するといった関係では、ない。橋本さんが『ピア』で要約した、まさに「「対等な仲間のような互助の関係」が本を作るあげた事例と言えるだろ。本の副題は「社員と顧客に愛される5つのシフト」だが、それ以前に、本作り参加者に愛されるシフトをした著者でもあった、斎藤さんは。

そういうご縁もあって、この第六回のセミナーは楽しみだったのだ。

3.「World Cafe」方式

斎藤さんと杉山さんのお話は本当に面白く、その内容を報告するのも意義があると思うが、そこは石川さんと一緒にSVP Tokyo パートナーとして活動をされている加藤たけしさんの労作にゆずりたい。

下記に当日のプレゼン資料だけでなく、その主張を補完する情報が関連クリップとして集められている。
■企業側ゲスト:斉藤さん https://www.facebook.com/events/480125172131862/permalink/494276140716765/
(この中で、
・統制から開放へ–社員・顧客を幸せにする5つのシフト http://media.looops.net/kato/2013/08/23/tokyo_socialshift1306/
が今回の私の投稿とは関係が深い)

■個人側ゲスト:杉山さん https://www.facebook.com/events/480125172131862/permalink/494300980714281/
(この中で、
・LENS主義について http://www.putiputi.co.jp/company/message.html
が今回の私の投稿とは関係が深い)

さてそれで本題の「World Cafe」方式。

最近、ファザーリングとか、職場の環境をどう変えていくか、といったテーマのセミナーで、「ワールドカフェ(World Cafe)」とういスタイルをとるのをよく見かけるようになった。

ポイントは、5つ。

イ.4人のテーブルで話し合い、必ず一回のセミナーで、二度、三度、テーブルをシャッフルする。そのテーブルの語り部をひとりだけ残して。

ロ.話し合いの最中、自分がしゃべったこと、相手がしゃべったことのなかで、「オ!」「おや」「なるほど!!」と思ったことを、テーブルの大きな模造紙に各自勝手に書いていく。

ハ.シャッフル後、新しいメンバー構成となったそのテーブルでまず、残った一人が、どういうことがそのテーブルで先ほど話し合われたかを、模造紙の記録をベースに話す。それに対して、「実はね」と他の三人が自分が座ってきた別のテーブルでの会話の体験を挿入していく。

ニ.シャッフルの前後に、会場全体で、「シェア」の時間を設ける。つまり、(全部は時間の都合で無理だが)いくつかのテーブルが自分達の会話の様子を簡単に、会場全体に対して紹介する。

ホ.結論を出さない。まとめない。

それだけなのだが、一体感、納得感が非常に高いセミナーとなる。

百人のセミナーで二回シャッフルしても、自分が実際話せるのは十人程度のはず。それなのに百人みんなと話せたような気分が会場に横溢してくるのが、とても不思議な現象で、それがブーストする自身の心の変化が心地よいのだ。

「確かに明日からの自分の行動は変わってくるかもしれない」、その可能性を感じさせる、新しい会話のスタイル、新しいセミナーの形式。

ところで冒頭の『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』について、その本の編集者真柴隆弘氏がこう述べているネット上の記事がある。

「ピアなら、だれもが参加でき、対等な立場でモノゴトを進めていける。多様性・参加・平等が、モットーだ。そして、なによりピアは気持ちよく、楽しい」

この「ピア」を「World Cafe」に取り換えて上記の文章を書き換えることに、おそらく実際参加した人なら全く違和感を感じないのではないか。

「World Cafeなら、だれもが参加でき、対等な立場でモノゴトを進めていける。多様性・参加・平等が、モットーだ。そして、なによりWorld Cafeは気持ちよく、楽しい」。

第六回の「ダイアローグセッション」に参加した私は少なくともそう感じた。

さらに『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』の最後には「解説」があり、そこでこの本のことを「変革&イノベーションを進めるための手引書」と書いている。しかしこの本は、コンセプトとその事例を紹介をした本。むしろ、「World Cafe」方式こそ「変革&イノベーションを進めるための手引書」なのではないか、それが私の直感である。

橋本さんが「ピア」概念に対して、「原理的には素晴らしいが実際に継続する仕組みにするのが難しい」「キリスト教文化や社会資本などご近所さんコミュニティの性質が欧米と日本では違うことが原因か」と危惧している、その懸念点を解消できるかもしれない方策として「World Cafe」をとらえることができそうだ。

次のページ(中)4.誌上インタビュー


◆関連クリップ
『ピア ネットワークの縁から未来をデザインする方法』-編集者の自腹ワンコイン広告 http://honz.jp/articles/-/40624

●ワールドカフェとは? – ワールド・カフェ・ネット http://world-cafe.net/about-wc.html

●ワールド・カフェの世界にようこそ! ―ワールド・カフェの準備と手順マニュアル http://dialog-bar.net/worldcafe2.pdf

●ワールド・カフェで起こる対話の構造―47都道府県での実践からみる考 http://furuse.ws/_files/pdf/furusews_worldcafe_essay.pdf

●社長の頭脳の翻訳者そして機動力の担い手として プチプチの無限の可能性を引き出すスーパー広報 http://www.busipla.net/jinji/Kawakamisangyo_1.html

●LENS主義について http://www.putiputi.co.jp/company/message.html

●Social Shift Framework http://bit.ly/1tnaDLd
「持続可能性」はインサイド・アウトから。成長を前提にできた時代から、成長を前提にできない時代へシフトしている。そこでは、「持続可能性」が優先度の高い経営課題になる。それをいかに達成するか。それが「ソーシャルシフト」だ、と。その「ソーシャルシフト」を実現するロードマップが整理されている。

(以上 情報note2014年8月28日 https://societyzero.wordpress.com/2014/08/28/00-69/ )

●『ピア ネットワークの縁から未来をデザインする方法』 http://honz.jp/articles/-/40624
「面白いのは、「ピアつながり」といっても、ネット系が中心になるわけではないことだ。ネットもリアルも含めて、ピア・ムーブメントをあらゆる分野で巻き起こそうというのである」「ピアなら、だれもが参加でき、対等な立場でモノゴトを進めていける。多様性・参加・平等が、モットーだ。そして、なによりピアは気持ちよく、楽しい。著者によれば、それはもともと私たちの古い共同体が、強い階層関係や権力に縛られていなかったから」。

●「自由の相互承認」と「仲間意識」~アイスバケツチャレンジから考えた~ http://blogs.bizmakoto.jp/teranishitakayuki/entry/20723.html
「自らが自由になりたいのであれば、他者の自由もまた承認すること。そのようなものとして、社会を構想していくこと。自由を求める人間が真に自由になれるための根本条件は、この「自由の相互承認」をおいてほかにない」。

(以上 情報note 2014年8月29日 https://societyzero.wordpress.com/2014/08/29/00-70/ より)

 


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