「ピア」の力、あるいは「World Cafe」方式~セミナー備忘録:第六回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション。(中)

4.誌上インタビュー

石川さんに、誌上で「ワールドカフェ(World Cafe)」について語っていただいた。

Q:最初に簡単な自己紹介と、これまでの関心、活動について説明してください。

都内の書籍出版流通企業の経営企画部にて勤務する36歳2児の父です。以前はIT企業、人材サービス企業の事業開発部門にて勤務していました。

仕事を通じてやりたいことは「活き活きと働く大人を増やす」「そんな大人をみて子どもが未来に夢を描ける社会を創る」です。

3年前、第1子の誕生を機にボランティア活動・地域活動を始めました。現在の「働き方と組織の未来」をテーマにした活動も、本業の活動ではありませんが、自分のやりたいこと、めざしたいことの一つでして、同じ志をもつ社会人仲間とボランタリーに運営しています。

Q:ワールド・カフェというスタイルを知ったのは、いつ、どういうきっかけで?

4年前です。ある勉強会に参加してこのスタイルを知りました。その時は「そこそこ面白いな」くらいの感じ方だったのですが、何度か他のイベントや勉強会でも体験するなかなで「これは面白いな」と感じるようになりました。

Q:ご自分の活動になぜ、このスタイルを使おうとおもったのですか?

想いをもった参加者同士が繋がる場になればと思ったのがきっかけです。参加者同士が繋がるためには、ゲストからの講演だけではなく、それをきっかけとした参加者同士の考えをシェアする場づくりが必要だと考えました。

考え方や想いの源泉みたいな“根っこ”をシェアすることは短時間での相互理解やよりよい関係性構築に対してプラスに働くと考えたからです。

また「働き方」というテーマとワールドカフェの相性の良さもあると思います。「働き方」は100人いれば100通りの考え方があると思っています。多様な参加者の多面的な意見交換により、自分自身の気づきを大きくするという効果もあると思います。

Q:これまで6回やってみて、うまくいかなかった要素、事例はありますか。

時間がおしてしまい、1ラウンドの時間が短くなったこと。またシャッフルができなくなったことがあります(反省)。

Q:こういう場面に向いている、こういう時に使うと効果的といった、経験上のノウハウがありますか。

多様なバックグラウンドや専門性をもつ方々が参加し、新しいアイデアを生みだしていく場には、特に有効だと感じます。逆にいうと、異なる多様な方々が参加するからこそ、ワールドカフェの効果がでるのだと思います。

Q:テーマ選定はどんな風なやりかたで行っているのですか。

参加者が当事者事として対話しやすいテーマ。あとは毎回ご登壇いただくゲストの話と関連性を持たせたテーマ設定になるように心がけています。

Q:あなたにとって、「ワールドカフェ」って何でしょう。

小さな一人の個人が大きな社会や組織全体をかえていくための入口、という感じでしょうか。

 

a.仕事を通じて社会を変えたい
b.考え方や想いの「根っこ」をシェアするのに、「ワールドカフェ(World Cafe)」は有効
c.多様性があるほど、「気づきを大きく(自分が変わる)」し、「ワールドカフェ(World Cafe)」は成功する

だから、

d.「ワールドカフェ(World Cafe)」=小さな一人の個人が大きな社会や組織全体をかえていくための入口

なるほど!!

なんと、c.はスティーブン ジョンソン氏が『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』で展開している現状認識とそこからの論旨と通底するものがある。

「現実生活における都市のプロセスは、ルーティン化するにはあまりにも複雑で、抽象概念として応用するにはあまりにも個別的である。(ジェイコブス)」 (P37)

「さまざまな状況についてわれわれが利用しなくてはならない知識というのは、集中したかたちや統合されたかたちで存在することは決してなく、ただすべての個々人が保有する不完全でしばしば矛盾した知識の分散した断片としてのみ存在する(ハイエク)」 (P36)

ジョンソン氏はジェイコブ、ハイエクを引いた後、中央集権型(そこはでは一律性、画一性が効率重視から優先される)ではなく、分権型、さらには分散型の社会の意思決定のあり方の重要性を説く。それは周辺(地域)からの社会改革や、多様性受容から出発することが、今の時代に必要だということでもある。

http://honz.jp/mwimgs/b/c/600/img_bc6956d8ce48d08bd190d8f2ddd583f9202819.jpg
なにしろ「今日、私たちが直面する問題の多くは、当初の意義がすでに失せてもなお存続している(中央集権型の)制度が現実の社会から乖離していることに端を発している。 (P215)」のだから。

『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』

そして私は、c.と同時に、a.にも関心した。

1977年私は社会人生活をスタートさせたが、石川さんはその翌年生まれ。石川さんの現在の年齢のころ、私は三人目を授かっていた。その当時自分の成長、変化は会社の成長、変化につながる、という発想はあったけれど、社会を変える、という視点はなかった。

時代背景もあるだろう。

50年代から70年代前半までの日本、高度成長の時期と90年代後半から足元までの日本とはまるで違う国にいるようだ。この点については経済学者、社会学者が膨大な議論を積み上げてきているがさしあたり、本田由紀氏の次の図表と、ふたつのモデル図を掲げておこう。
・戦後日本社会の変化と二つの世代
http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20120630/houkoku/images/01_honda/01_blt.png

・高度成長期に完成した「戦後日本型循環モデル」
http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20120630/houkoku/images/01_honda/04.png

・現在の混迷:「戦後日本型循環モデルの破綻」
http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20120630/houkoku/images/01_honda/05.png

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次のページ(下)5.「会社を生きる」から「社会を生きる」へ


◆関連クリップ
●ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法の名言・引用セリフ一覧 – inbook(インブック) http://inbook.jp/book/4772695419

●労働政策フォーラム(2012年6月30日)「働く若者への期待―意識の変化と就労支援―」/ http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20120630/houkoku/01_honda.htm

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