「台割り」の呪縛を乗り越える、辞書の電子化(2)~【セミナー備忘録】:『デジタル大辞泉』すべて見せます話します

(前半が主に「制作面」。休憩をはさんで後半は「販売・プロモーション面」の話でした)

・後半開始、開口一番言われたのが、「大人の辞書は終わった」

・正確には、「大人向け、社会人向けの紙の辞書」に将来はないだろう、ということ。
・果たして広辞苑の第七版は出るのか。小学館の「大辞泉」は普通に考えると無理。ただ会社の90周年記念の一環で刊行されることはあるかもしれない。それくらい、紙の辞書の刊行は難しい局面に来ている。
・学習者向けは一定の規模を維持していくが、社会人向けはネットシフトで激変が起きている。

・つい先日、セイコーインスツルが辞書端末事業からの撤退を発表した。
●電子辞書ビジネスからの撤退について | セイコーインスツル株式会社 http://www.sii.co.jp/jp/news/2014/10/07/11409/

・ネットシフトが起きているのなら、ネットで稼げば、ということもあるが、ここもマネタイズは一筋縄でいかない。その象徴がYahaoo!辞書のコトバンクへの業務移管、業務提携。
●朝日新聞社、VOYAGE GROUP、Yahoo! JAPANがインターネット辞書サービス領域において業務提携 http://pr.yahoo.co.jp/release/2013/1204a.html
ことばんく

・これまでは、辞書コンテンツのデータ・デジタル化で辞書端末で売る、さらにネットも含め多方面にコンテンツを出していくことでなんとか収支黒字を維持してきた。しかしこれからはそうもいかなくなるだろう。

・辞書コンテンツの生き残り策は何か。「データの日々更新」。これは最低限のことと認識している。
・そのうえで、どう「コミュニケーションをはかるか」「コミュニティを形成していくか」、これが鍵になる。

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・社会保険庁は日本年金機構に衣替えしたが、紙の辞書にこのことを反映するには、辞書の改定時まで待たなければならない。しかしデジタルなら簡単。ただ技術的に簡単なそのことを組織立て、システムに落とすのはそう簡単なことではない。
・現在、この活動にあたっているのは正社員ベースで言うと2名。提携先、外注先を使いながら現在の更新体制を維持している。

デジタル大辞泉(コトバンク収載)の例:
厚生省(現厚生労働省)の外局として昭和37年(1962)に設置。国民年金・厚生年金保険・政府管掌健康保険などの業務運営を担ってきたが、不正な事務処理や年金記録のずさんな管理が相次いで発覚したことなどから、平成19年(2007)の通常国会で解体・改革が決定。政府管掌健康保険の運営は平成20年(2008)10月から協会けんぽとして全国健康保険協会に、公的年金の運営は平成22年(2010)1月から日本年金機構に引き継がれた。

・これだけ話題になっているのだから「イスラム国」も収載すべきだろう。またノーベル賞が決まれば、その人名見出しの説明文を変更する。こういった変更を日々実行し、年3回、公開データとして、『大辞泉』に反映する。イスラム国、ノーベル賞いずれも次回のデータ・バージョンには反映される予定。

・しかし「良いものというだけでは、認知されない!」。

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・ブランドイメージの構築とその浸透が大命題だ。

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・そのためまずポータル・サイトを作った。
大辞泉|小学館 http://www.daijisen.jp/
大辞泉ポータル

・読者との対話が大事なので、ソーシャル・メディアのアカウントも開設した。
大辞泉fb 2

大辞泉twitter

・「双方向性」をさらに強化するため始めたのが、「あなたのことば」キャンペーン。
●あなたの言葉を辞書に載せよう。2014|小学館 大辞泉 http://kotoba.daijisen.jp/
大辞泉キャンペーン

・読者が辞書の執筆者、あるいは編集者になる取り組みと言っていい。

・「笑っていいとも」への出演は、広告代理店が持ってきてくれた話。辞書の編集者は本来、出版という舞台の幕の後ろに控えているもの。それがテレビに出張っていくことになった。ブランディングの時代とは、編集長も露出していく時代。

・時間概念が全然違うし、仕事の進め方も異なり、全く新しい体験で、戸惑うこと、またひやひやの連続だったが、かなり「辞書の認知」の点では効果があった。

●『いいとも!』“言葉の達人”を国語辞典が採用。ユッキーナが涙、「タモリさんに超ホメられた」 http://japan.techinsight.jp/2014/03/yukkina-kokugojitenkeisai-iitomo20140324.html

・今後の課題としては、人材育成とデータ統合がある。
・紙の辞書を編集した経験、ノウハウがあればこそ発案できるアイデア、判断力というものがある。今後、辞書が仮にデジタルだけで展開するようになったとき、そこのところをどうするか。
・その一方で、紙の世界に固有のノウハウがあるように、ネット世界でのプロモーション、さらにはネットならではの辞書コンテンツの展開に必要なノウハウというものが当然ある。それを取り込むにはどうしたらよいのか。いま一番悩んでいる部分。

・それから前半で話したように、小学館には5本のデータベースが現在走っている。これを統合したい。統合して、「辞書」を軸にした小学館のブランディング強化を構想している(社内方針で決まったというわけではないが)。

・このロゴもそれの先取り。

sem019 デジタル大辞泉 16

(そして、最後に)

・「デジタルの力を使ったブランディング戦略」では辞書で一歩先を経験している。この経験を是非とも会社全体に応用していきたいと考えている。いやあ、それにしても「デジタルって、楽しい!!」。

←前のページ (1) https://societyzero.wordpress.com/2014/10/17/00-108/

修正:2014年10月23日

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