2014年から15年へ 日本の電子書籍市場

すでにいくつも昨年の回顧、総括がまとめられているが、少し違う角度から。自分用のメモを。

1.「サイマル出版・業務フロー」が当たり前になってきた。

「サイマル出版・業務フロー」とは紙を刊行する際、

・著者許諾等の電子化のための権利関係の処理を済ませておく
・本文に関するデジタル・データを出版社の手元に置く

このふたつの作業を終えておくこと。

この業務改革を行う出版社が増え、初版数万部、初版数千部、それぞれの出版サブ業界の主要企業で、「当たり前」になってきた。

 

2.非コミック系電子書籍で「売上」が立つようになった。

『出版月報』(11月号)の特集「電子書籍ビジネス最前線」によると、

2013年の非コミック系電子書籍は199億円程度。紙の書籍が7647億円、紙と電子合計に対する、電子化率は2.5%。
かたやコミックの紙と電子は合計が2962億円で、うち電子は731億円。コミックの電子化率は24.7%。

 この趨勢は2014年、さらに勢いづいた感じだった。

ちょうど戦後、雑誌の流通を梃にして巨額の投資決断が可能になり、書籍・雑誌全体の流通インフラが整備され、宣伝ノウハウが蓄積されていった。それと同じ循環が始まろうとしている。

つまりコミック電子版での売上確立を梃にして、1.の流れの起点が設定され、電子版固有のビジネスモデル模索と非コミック系電子化作業(コスト負担)への余裕を作った。そういう循環が回転し始めた。

雑誌という少品種多量型商材、しかも「定期」刊行物という、投資判断を容易にする要素を引き継ぐのが、電子版の場合、コミックだったといっていいだろう。(ただし投資判断をしたのが、20世紀央の戦後は取次会社、21世紀の今は個別の出版社という違いはあるが)

その成果の帰趨が見えてくるのが2015年になる。成否を分けるのは「スマホ対応」の巧拙。方向はみんなわかっているが、具体化には困難が待ち受ける。

日本の電子書籍市場が、多様なコンテンツで豊穣の花を開かすかどうか、楽しみな2015年。

 

3.リ・ユースの萌芽

戦後、2.の、雑誌を起点とする好循環の端緒を担ったひとつが、「漫画の貸本屋」。リ・ユースを基本構想とするビジネスモデルだったことは、もっと思い起こされてもいい。

「回転」で読者の裾野を広げていった。「読者」を創出するのに、「漫画の貸本屋」が大きな貢献をした。

「読み放題」、「期間限定型プライス設定」、「レンタル」、「電子版図書館サービス」。2014年は数々のリ・ユースを底に秘めたモデルがいくつも出てきた。
コンテンツそのもののリ・ユースはとにかく、「スマホ対応」がポイント。

それ以外に、端末のリ・ユースが何か新しい可能性を拓くことがあるかもしれない。たとえば専門書の電子化にとって。

2015年に期待しよう。

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