シュプリンガーとマクミラン 知の生成・流通とその事業化のむずかしさ

シュプリンガーが合併!?

「Nature」の名前は昨年の騒動で、だいぶ日本でもおなじみになったことでしょう。
雑誌「Nature」はNature Publishing Groupの発行で、Nature Publishing Groupはマクミランの子会社です。

そこと、もうひとつの学術専門書・雑誌の出版社。とりわけデジタル化で最先端を走ってきたシュプリンガーとが合併!?

●ホルツブリンク・パブリッシング・グループとBC パートナーズが マクミラン・サイエンス・アンド・エデュケーションの大半の事業と シュプリンガー・サイエンス+ビジネスメディアの全事業との合併合意を発表 | Nature Publishing Group http://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8490

オープン・アクセス

「publish」には、「公」の要素が入ってくる部分が、とりわけ専門書の場合は大きく、市場原理だけでは成立しない部分がありますね。

オープン・アクセス(資金を政府や他の出資機関が担うコンセプト)動向などがそれを表していました。

「学術出版の主要な部分を占める査読が、科学界において無償で行われているにもかかわらず、完成した論文を科学者が読むためには、定期購読ジャーナルの出版社に毎年総額数十億ドル(数千億円)の購読料を支払わなければならないというのは最大の茶番だ」。オープンアクセス発想の原点はここにある。既存の出版エコシステムに胡坐をかいている出版社不信の裏返し。コミュニティがすでにあり、それをデジタルの力を借りて活用できるなら、別の知のエコシステムを創造することができるはず。

●科学出版の本当のコスト | 科学出版の未来 | Nature 特別翻訳記事 http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/specials/contents/scipublishing/id/news-feature-130328-1



世界的なジャーナルを持たない日本の出版社には、また別の動きがこれから出てくるのでしょうか。

流動的な時代になってきました。

 

ちなみに、マクミランの元親会社ホルツブリンク・パブリッシング・グループは、家族経営のブッククラブとして1948年創業した会社。その後、業容を拡大、1995年にはマクミラン出版社を買収するまでになっていた。一方、シュプリンガーはOAの潮流を見て、ジャーナルを核にした専門書出版事業の経営存続に危機意識を持ち、2013年6月に投資会社BC Partnersに身売りしていた。


●シュプリンガー・ジャパン http://www.springer.jp/
●Springer、英BC Partners社が買収|STI Updates|情報管理Web http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2013/06/008663.html

●Nature Publishing Group について | Information Gateway | Nature Publishing Group http://www.natureasia.com/ja-jp/info/about/


 

◇関連クリップ

●論文のオープンアクセス化を推進すべき7つの理由と5つの提案 | 日本の科学を考える http://scienceinjapan.org/topics/20140326a.html

●クリエイティブコモンズにキックスターターを融合させた、電子書籍のためのプラットフォーム「Unglue.it」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39450
著書に対する一定の報酬を得ながら、オープンアクセス化によってより多くの人々に著書を届けられる、物書きにとっては一石二鳥のプラットフォーム。3つのモデルを用意。寄付モデルをベースとした「Thanks for Ungluing」、一般読者に電子書籍コンテンツとして販売し、売上総額が目標額に達したら、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で開放する「Buy to Unglue」、「作品が完成したら、必ずオープンアクセス化する」という条件で広く資金を募る「Pledge to Unglue」。有償論理と無償論理の組み合わせ。

●CiNii Articles – 日本の論文をさがす – 国立情報学研究所 http://ci.nii.ac.jp/
リニューアル。「Booksで雑誌を表示するときにオープンアクセスの電子ジャーナル(いまは日本で出版されたものに限定)があればそちらにナビゲートするという機能で、日本の大学図書館界の何十年来の悲願?だった紙と電子の融合の第一歩を示したというのがあるのですが、いかんせん地味です。そしていまさら感満載」(大向 一輝)。

●「アジアを吹き抜けるオープンアクセスの風-過去、現在、未来-」
http://www.nii.ac.jp/sparc/publications/newsletter/PDF/sj-NewsLetter-21.pdf
韓国、中国、東南アジアの個別の状況、そしてアジア全域についての概況と展望について。

●Open Access & Licensing (シュプリンガー)
http://www.unibiopress.org/PDF/Unibio_seminar20140724_Springer-Yamashita_R.pdf

●Nature Publishing Group、オープンアクセス等のビジネスモデルを発表 新たにオープンアクセスジャーナルを創刊へ | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/17412

コメントを残す