ICT敗戦国と「教育のデジタル化」

 ICT敗戦

「日本は残念ながらICT敗戦国となりました。それはパラダイムシフト、これから何の勝負になるかが見えていなかったからです。かつては素晴らしいデヴァイスを作っていましたが、もうデヴァイスの時代ではありません。大事なのはエコシステム、アーキテクチャーを考える力。この戦略です」。

(MIT石井裕教授が提言。「ICT敗戦国」日本を生きるクリエイターに必要な2つのこと http://wired.jp/2014/07/30/mit-ishii-evernotedays/

http://wired.jp/wp-content/uploads/2014/07/MIT-4.jpg )

これは何も電子産業の一部企業や家電メーカーだけのことでありません。生活シーンのあらゆるところに関わる話です。社会や人生の外部環境の様々な局面と関連のある話です。

「◇関連クリップ」をご覧ください。

 

教育がこれと無縁なはずがありません。

「教育のデジタル化」、ふたつの側面

つまり「教育のデジタル化」の議論はふたつの側面にわけて検討すべきなのです。

・ICT化が進む社会への対応力の育成
・ICTの特長を生かすことによる教育の質の向上

後者は良く研究して、またそれなりの準備をして、ということでしょう。しかし前者は待ったなし。

なぜなら電子産業の一部企業や家電メーカーと社会や国との違いは、取り換えが効かない点にあるから、です。

企業レベルの「ICT敗戦」は新陳代謝の一環ですが、私たちの社会や国の話は、日々の暮らしの生き難さや人生設計上のコスト高に結びつくことになるだけに、切実かつ影響が及ぶ範囲が広範です。ここでの「敗戦」は、現在の失敗が未来を劣化させる、先へ行く他国から収奪される国の側に立つことを意味します。

「大事なのはエコシステム、アーキテクチャーを考える力」。

そういう力を持った人を数多く輩出させること、さらに「生きる力」の一環として、学校を出てきた社会人の「当たり前」にすることが、21世紀には重要です。

 


ピケティ用語集 http://bit.ly/1vjytXR

ピケティ勉強会(4) 実は、ピケティはこうも言っている。 http://society-zero.com/chienotane/archives/24

◇関連URL

●いつ、今の仕事がなくなるかわからない激動の時代、2つ以上の仕事をもつこと http://www.ex-ma.com/blog/archives/1327

●IoTは「サービスのモノ化」と考えたほうがわかりやすい http://thebridge.jp/2014/07/iot_service

「ハードウェアはあくまで提供したいサービスをユーザーに使ってもらうためのチャンネルのうちの一つでしかありません」。

○「コトづくり」の動向とICT連携に関する実態に関する調査研究 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h25_06_houkoku.pdf


哲学者、和辻哲郎によると、「コト」は3つの語義を持つ:「モノ」の動作や状態としてあること。コトはモノに属するとともに、モノをモノたらしめる基盤である。/「出来事」や「事件」。そこから派生する「仕事」や「しわざ」「行ない」。「ことがある」「ことを起こす」というような場合の「こと」。/ 「言(こと)」。産業の中ではまず、モノとコトを対立概念とする発想から、モノはコトの中に包摂されるとする「サービス」概念を重視するようになり、最近では、機能的価値と意味的価値に因数分解してとらえるようになってきている。さらにモノづくりの現場にもコトづくりの思想を、という変化も。ICTの発達がこのような変遷を促した。(ICTの進化と「コトづくり」の広がり http://bit.ly/1qcv6CC )

(以上 『情報note|知のパラダイムシフト』2014年9月一号より  )

●先進技術のハイプサイクル問われる先進テクノロジーへの戦略―2014年版ガートナー・ハイプサイクルの見方 http://it.impressbm.co.jp/articles/-/11650

IoTはピーク期、ビッグデータとクラウドは幻滅期。デジタルビジネスへのロードマップと6つのフェーズ=ステージ1:アナログの情報化/ステージ2:Web/ステージ3:eビジネス/ステージ4:デジタルマーケティング/ステージ5:デジタルビジネス/ステージ6:自律(Autonomous)。

●センサーで水道管の漏水被害を抑える、NECがIoTの新サービス http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/090500752/
IoT事例。従来の漏水調査では、専門の保守員が漏水音を耳で確認していた。熟練した知識と経験が必要なうえ、広範囲にわたる管路を迅速に調査することは困難。結果、陸上で事故が起きてからの対処になりがち。

●ネット家電の「司令塔アプリ」 未来の住まいが身近に http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76172180W4A820C1000000/


複数のIoT機器を束ねて、1つのアプリでコントロールできるのが理想。家電製品の認証の仕組みや標準化が課題。

(以上 『情報note|知のパラダイムシフト』2014年9月二号より  )

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